シリーズ「人生の主役はあなた」第2回「まだ気づいていない、大切な気持ちがあるとしたら?」

こんにちは。カウンセラーのアサコです。
前回の記事では、「ネガティブな思考」は脳の仕組みであって、自分を責めなくてもいいというお話をしました。
今回は、自分の「本当の気持ち」とつながるための方法をご紹介したいと思います。
「本当はどう感じているのか、よくわからない」
——そんな風に思ったことはありませんか?
頭の中ではいろんな考えが浮かんでくるけれど、
「結局、私はどうしたいんだろう?」
「どう感じているのか、自分でもよく分からない」
そんなモヤモヤが、私たちを迷わせることがあります。
そんなときに役立つものとして、「フォーカシング」という方法があります。
フォーカシングとは
フォーカシングは、アメリカの哲学者・心理学者ユージン・ジェンドリンによって提唱された方法です。
特徴的なのは、「言葉になる前の、身体の感覚」にやさしく注意を向けていくという点です。
たとえば、誰かとの会話を思い出したとき、
「胸のあたりがなんだか詰まる感じがする」
「胃のあたりが重たくなる」
そんな感覚を覚えたこと、ありませんか?
フォーカシングでは、そうした“微妙な身体の感じ”を「フェルトセンス(felt sense)」と呼びます。
それは、たとえば“言いたいことがあるのに言葉にならない”ときのような、漠然としているけれど、確かにそこにある感覚。まだはっきり言えないけれど、大切な意味を含んでいる「感じ」です。
フォーカシングの流れ
ここで、簡単にフォーカシングのステップをご紹介します。
静かな場所で、できれば目を閉じて、ゆっくり呼吸します。
今の自分に、「最近、気になっていることって何だろう?」と問いかけてみます。
思い浮かんできたテーマをひとつだけ選び、そのことについて、身体のどこかに“何か感じ”があるかを探してみます。
—— 胸のあたり? 胃? 喉? 肩?
見つかったら、「その感じ」に言葉をつけてみましょう。
たとえば「重たい」「もやもやする」「ぎゅっと縮こまっている」など。
あるいは、動作やイメージでも構いません。
でてきた言葉やイメージが「その感じ」にぴったり合っているかを確かめながら、たとえば友人の話に耳を傾けるように、その感覚と一緒にいてみます。
このような流れの中で、自然に「自分はこう思ってたんだな」と気づく瞬間が訪れることがあります。
あるいは、次のような質問をしていく中で気づきが生まれることがあります。
たとえば、
「その感じは、何を必要としている?」
「その感じにとって、どんなことが起こったらよい?」
「その気がかりの中で、この感じにさせているのは何?」
この時の気づきは、頭だけで考えた時とは違い、身体が緩んだり、安心や深い納得を伴って感じられたりします。
「気づく」ことが、変化の始まり
フォーカシングの目的は、無理に気持ちを変えることではありません。
「そう感じているんだね」と、自分の中にある思いをそのまま受けとめてあげること。そのことで、心にゆとりが生まれ、自己実現へと向かう道へと進展していくことがあるのです
フォーカシングは一人でもできる方法です。
ただ、信頼できる相手と一緒に取り組むことで、より自分に向き合えたり、安心して深い気づきが進んでいくことがあります。
この方法を提唱したジェンドリン自身も、パートナーの助けを借りてフォーカシングを行うことがありました。
大きな問題を抱えているときや、一人では難しいと感じるときには、無理せず信頼できる誰かと一緒に取り組んだ方がよいかもしれません。自分の「本当の気持ち」に気づき、自己実現へとつながる次の一歩が見えてくることと思います。
次回は、さらに「こころと身体のつながり」に目を向けて、「こころに働きかけるための身体からのアプローチ」について、ご紹介したいと思います。
<参考文献>
『フォーカシング』ユージン・ジェンドリン著/村山正治ら訳(福村出版)
『フォーカシング・ハンドブック』日笠摩子監修/高瀬健一編著(北大路出版)
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