なりたい自分になる(前編)~セルフイメージが自己実現を遠ざけている!? ~
1. 「なりたい自分」なること
私たちは誰もが「なりたい自分」という理想の自分を持っていて、その実現を目指しています。しかし、友人や周りの人を見渡すと念願かなって「なりたい自分」になっている人もいれば、そうでない人もいます。この違いはどこからくるのでしょうか?理想の自分になるためには、まず自分自身を深く理解し、適切な行動を取ることが不可欠です。本記事では、なりたい自分になる方法(前編)として、セルフイメージの概念を中心に、「なりたい自分」になることを大きく妨げている要因について解説し、自分の夢の実現への道筋を探ります。
2. セルフイメージとは
セルフイメージとは、私たちが自分自身について持っている心的イメージや概念の総体(自己像)です。これには、能力、外見、性格、価値観などに関する認識が含まれます。セルフイメージは、意識的な部分と無意識的な部分から構成され、私たちの思考や行動に大きな影響を与えています。
3. 簡単には、なりたい自分になれない理由
多くの人が「なりたい自分」になれないのは、単純に努力が足りないからではありません。むしろ、私たちの心の奥深くに存在する無意識の抵抗や、セルフイメージのゆがみが大きく関わっています。これらの要素が自分を変えることを妨げている、と言っても過言ではありません。
例えば、「自分は人前で話すのが苦手だ」という無意識的なセルフイメージを持っている人は、意識的に「上手く話せる」と思い込もうとしても、実際の場面では緊張や不安を感じてしまいます。
4. 無意識の抵抗
無意識の抵抗とは?
私たちは一般的に変化を恐れる傾向があり、無意識のうちに新しい挑戦や変化に抵抗することがあります。これは、現状を維持することで心理的な安定を保とうとする本能的なメカニズムです。この無意識の抵抗は、今の自分を変えようとする時に障害となります。
具体的な無意識の抵抗のパターン
- 変化への恐怖:新しい挑戦や未知の領域に足を踏み入れること、つまり現状が変更されるこのへの不安。
- 成功への恐れ:成功による責任や他者からの期待がプレッシャーとなり、無意識に自分を制限してしまうこと。
- 自己防衛(心的防衛機制):失敗や傷つくことへの恐れから、無意識に挑戦を避ける行動を取ってしまう。
5. セルフイメージのゆがみ
セルフイメージの影響
私たちが抱くセルフイメージは、自分の行動や目標、対人関係に深く影響を及ぼします。特に、誤ったセルフイメージを持つことが「なりたい自分」への道を大きく妨げる要因になります。自分の能力や価値を過小評価してしまうと、それに見合った行動しか取れなくなり、成長の機会を失ってしまうのです。
ゆがんだセルフイメージの例
- 「自分は価値がない」という思い込み:過去の失敗や他者からの批判が積み重なり、「自分は無価値だ」というゆがんだセルフイメージが形成されると、挑戦すること自体を避けがちになります。
- 「自分はできない」という思い込み:挑戦の前に「どうせ失敗する」と決めつけてしまい、実際にその通りの結果を招くネガティブな意味での自己成就予言(ロバート・A・マートン)が働くことがあります。
6. 意識と無意識のバランス
セルフイメージは、意識的な部分と無意識的な部分から構成されています。意識的なセルフイメージは、私たちが自分で自覚している自己像です。一方、無意識的なセルフイメージは長年の経験や環境によって深く根付いた潜在的な自己像です。
意識と無意識のセルフイメージが一致しているとき、私たちの行動は一貫性を持ち、目標達成がスムーズに進みます。しかし、無意識のセルフイメージが「自分は無価値だ」などと否定的である場合、意識的にどれだけ「自分は成功できる」と思い込もうとしても、無意識がその行動を妨げてしまう大きな抵抗となってしまいます。
7. セルフイメージの変更の難しさ
意識的なセルフイメージは、比較的簡単に作り出したり変更したりすることができます。例えば、「今日から自信を持つ」と決意することは誰でもできるでしょう。しかし、無意識的なセルフイメージを変更するのは容易ではありません。これは、過去の経験や環境が深く影響しているためです。
8. 次回予告:なりたい自分になるために
次回の記事では、無意識の抵抗やゆがんだセルフイメージをどのように克服し、「なりたい自分」に近づくための具体的な方法について紹介します。無意識と意識のバランスを整え、自分の中にある抵抗を和らげる方法を探っていきます。