人生と向き合うシリーズ第5回:大切なことに気づくユニークな方法「アニクロ」
こんにちは。カウンセラーのアンシーです。
私たちは日々の忙しさの中で、自分自身をじっくり振り返る時間を忘れがちではないかと思います。けれども、ある程度の時間をかけて、これまで気づかなかった本当の自分の気持ちや、今の自分に大切なことを理解することが、人生を豊かにする鍵になるではないでしょうか。
自分の内面と向き合う方法として、心理学者・池見陽先生が提案する「アニマル・クロッシング(アニクロ)」をご紹介したいと思います。このワークは、日常生活の中での自分自身の在り方を動物に譬えるというユニークな方法です。
<アニクロのワークの流れ>
自分の「生きざま」を振り返る
まず、最近の自分の生活や行動を振り返ります。どのような状態で日々を過ごし、どんな感じだったでしょうか。
動物に譬える
その生活や状態を、一匹の動物に譬えてみます。その動物はどんな動きをし、どこでどのようにしているでしょうか。
自由に語り、変化を感じる
その動物について安心できる人に語ってみましょう。対話をする中で、動物のイメージが変化したり、新たな気づきが生まれることがあります。その変化を大事にして感じてみてください。
たとえば、あるワークを行った方は「今の公私の生活状況で身動きのとれないしんどさを感じていた自分」に気づき、その状態を「身を縮めていたヤドカリが貝殻から出てこようとしている」と表現しました。そして、対話を進めていく過程で、そのヤドカリが「自分にフィットする貝殻に移って、ハサミでピースをしているイメージに変わり、白浜と海の広い景色が浮かんできて爽やかな気分になった。自分の変化に合わせて考え方や環境自体を変えていく必要性への納得感が深まった。不思議と気持ちが楽になった。」とのことでした。
アニクロの意義と学術的背景
アニクロは、フォーカシングを考案したユージン・ジェンドリン(哲学者・心理学者)の「体験過程理論」に基づいて開発されました。動物というメタファーを用いることで、動物という「他者」を見つめることになり、これまでと異なる新しい理解が可能となってくるのです。この方法の効果は、関西大学臨床心理専門職大学院の研究でも示されており、以下の文献で詳しく述べられています:
池見陽ほか(2019)「アニクロ:体験過程理論から見出された実存的なワーク」
論文の詳細はこちら⇒https://www.akira-ikemi.net/ewExternalFiles/Anicro.pdf
豊かな人生への歩みを進めるサポート
アニクロは個人で行うことも可能ですが、心理の専門家のサポートを受けながら対話をしていくことで、より深い自己理解につながる気づきや充実感を得られることでしょう。
「アニクロ」のワークに限らず、専門家との対話では、自分の内側にある未解決の感情や気づかなかった側面に光が当たり、より充実した人生へのヒントが見つかることがあります。皆様も一度、こころ相談ナビのカウンセリング・セッションを体験してみませんか。
この記事があなたやあなたの周りの人の自己理解の一助となれば幸いです。心の健康を維持し、充実した日々を送れるよう、私たちはサポートいたします。ご関心のある方はぜひご相談ください。