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シリーズ「人生の主役はあなた」第4回 「“安心”が、あなたを変える力を持っているとしたら?」

こんにちは。カウンセラーのアサコです。
今回は、神経生理学的な視点から、「こころと身体を整えていく方法」を探ってみたいと思います。


「頑張らなくちゃ」「気を抜いちゃいけない」——
そうやって日々を乗り越えてきたけれど、
ある日ふと、呼吸が浅くなっていたことに気づいたり、
人と話すことが妙にしんどく感じられたり……。

そんな経験はないでしょうか。

もしかしたらそれは、「神経」の反応からくるものかもしれません。

「ポリヴェーガル理論」という視点

「ポリヴェーガル理論」は、アメリカの神経生理学者スティーブン・ポージェス博士が提唱した、自律神経についての新しい考え方です。
私たちはよく「交感神経=緊張、興奮」「副交感神経=リラックス」と教わってきましたが、
この理論では、副交感神経の中にさらに2つのシステムがあるとされています。

交感神経(危険察知の状態)
 ストレスを感じると心拍数が上がり、筋肉が緊張し、「戦う・逃げる」準備をする。

・背側迷走神経(生命の危機の状態)
  極度のストレスや恐怖により、心身が「シャットダウン」し、無気力・フリーズ状態になる。

・腹側迷走神経(安全・安心の状態)
 人とつながっていたり、リラックスできている状態。呼吸や心拍数も穏やかで、自然な笑顔や落ち着きを 感じられるとき。

これらの状態は、意志とは関係なく環境や体の状態に応じて、自動的に切り替わっているものです。
そのため、自分では「平気なつもり」でも、身体の方ではすでに緊張状態が続いていて、それが「疲れ」や「落ち込み」として現れてくることもあります。

「安心感」がもたらすもの

ポリヴェーガル理論が教えてくれるのは、私たちは「安心」を感じられると、心は落ち着き、意欲が湧き、健やかに生活が送れるようになっていくということ。

今、もしつらさやイライラが続いているとしたら、
「私が弱いから」「もっとしっかりしないと」と考えるよりも、
「今、自分の神経がどんな状態にあるんだろう?」と、やさしく観察してみること。
そこから整えていく方法があるかもしれません。

『負の感情がラクになる ポリヴェーガル理論がやさしくわかる本』より

吉里恒昭さんの著書では、3つの神経の状態を3つの色になぞらえて説明しています。

(神経の高ぶり・興奮・アクセル)
(活動レベルの低下・シャットダウン・ブレーキ)
(丁度よい・安心感・穏やか)

まずは、「今、自分はどの色の状態にいるかな?」と今の状態の観察から始めること。
そして、「つらい状態を脱したい」とを減らそうと焦らずに、
「少しずつ“緑の時間”を増やしていくことが大切」として、たくさんの例が紹介されています。

紹介されていた方法の一部には、たとえばこのようなものがあります:

五感を通じて「心地よさ」に触れてみる
 風の音、温かいお茶、やわらかな光……
 五感から喜びを感じられるような体験を、無理のない範囲で取り入れてみる
呼吸や動作に意識を向けてみる
 食事中、歩くとき、呼吸をしているとき——
 日常の何気ない動作の中で「今ここ」をマインドフルに感じてみる
「顔」に軽くふれてみる
 腹側迷走神経が分布している眉間や鼻の下、こめかみ、顎など、顔の部位をそっとタッチしてみる
セルフハグ
 自分を両腕で包むようにするハグ。心地よさが感じられるように、触れる所や強さを工夫してみる
安心できる人と過ごす
 安全な場所で、一緒にいてホッとできる人と過ごす時間をもつようにしてみる

一人で抱え込まずに、時にはサポートを受ける選択肢も

けれども、もしも今、疲れや不調が長く続いていて、日常生活にも影響が出ていると感じたら——
一人で抱え込まずに、他の人に相談することを検討してみてください。

専門家によりカウンセリングや医療的なサポートも、あなたの「安心」を取り戻すための方法の1つです。


人生の主役である自分との関係を 大事に育んでいきたい

私たちは誰もが、人生という旅の中で、少しずつ揺れたりしながら歩いているのだと思います。
完璧でなくても、むしろその揺れの中にこそ、「その人らしさ」があるだと思いませんか?

身体の声にもそっと耳を傾けながら、自分との関係をゆっくりと育てていけたら——
人生の道のりが、豊かで穏やかだと感じられてくるかもしれません。

参考文献
吉里恒昭著『負の感情がラクになる ポリヴェーガル理論がやさしくわかる本』(日本実業出版社)


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この記事を書いた人

スペシャリティ:ストレスマネージメント(ストレスと上手くつき合うための支援)
サブスペシャリティ:セルフエスティーム(自己肯定感)の向上

得意分野:
フォーカシング指向心理療法、マインドフルネス、メンタルセルフケア

受付可能な時間:
水・土 ( 10:00-16:00 / 19:30-21:00)
火・木・金 ( 19:30 - 21:00)

※他の曜日時間帯もご相談ください。

経歴:
小・中学校、高等学校スクールカウンセラー、大学の学生相談室カウンセラー、精神科の病院・クリニックにて心理療法士として勤務。

保有資格:
・TIFI国際フォーカシング研究所プロフェッショナル/トレーナー
・臨床心理士
・公認心理師

カウンセリング方法:
オンラインビデオ通話

クライアントの方々の声:
「ここでカウンセリングを行って、自分がこのような場を求めていたことに気がつきました。」

「どうにでもなれ、と思っていた自分の人生を、また考え直すことができました。」

「気がかりなことがあって、とても辛いと感じていたのですが、ここでカウンセリングを受けている最中に、自分から新たな解決法が見つけられたのは、嬉しい驚きでした。」

「先生は、とても優しくて穏やかな雰囲気がおありです。なかなか話しづらいことでも親身に話を聴いてくださって、安心感があります。いつもありがとうございます。」

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